2019年2月9日に開催されたSaCSS Special19に参加してきました。
SaCSSとは
『SaCSS(サックス)』は札幌で主にコーダー(マークアップエンジニア)やWebデザイナー向けに、HTMLやCSS、JavaScriptなどフロントエンドの内容を中心に、2009年4月からほぼ毎月勉強会を開催しているコミュニティーです。
SaCSSは「Sapporo Cording Study & Seminar」もしくは「Sapporo.CSS」を省略した形で、参加者に「サックス」の愛称でよばれております。
引用元:SaCSS – 札幌のウェブデザイナー・コーダー向け勉強会・セミナー
2009年から開始されていて、今年の4月で丸10年(!)になる札幌のウェブ系勉強会、SaCSS(サックス)。ぼくがウェブ業界に入ろうとした時にはすでにスタートしていて、腹を決めて買ったiMacとHTML本3冊を持つだけの超初心者だったぼくの、心の拠り所でした。
フロントエンドの話だけでなく、デザインやディレクションに関する回もあります。主催者のハムさん(@h2ham)いわく「ぼくが聞きたい話をやってもらう会です」ということですw
今回はスペシャル版として、「考えを仕事に活かす」というテーマで開催されました。
セッション1:良い仕事は良い打ち合わせから 〜 打ち合わせワークショップの勧め(合同会社CGFM 金内 透さん)
グラレコ
セッション概要
皆さん、クライアント様と打ち合わせはどんな風に進めてますか?毎回、企画書や提案書を作成して大変じゃないですか?
ここ数年間、弊社は打ち合わせ用の資料を作成せずに、打ち合わせは「一緒に考え議論する場」と捉え、これまでワークショップ形式の打ち合わせを行ってきました。
どんなやり方でワークショップ形式の打ち合わせを行ってきたか、それでどんな効果があったか、皆様と共有できればと思っています。
引用元:SaCSS Special19: 考えを仕事に活かす
金内さん(@Garyuten)はフロントエンドエンジニア&Webファシリテーターであり、クライアントのサイトの受託制作をされています。打ち合わせには企画書やヒアリングシートは準備せず、すべてワークショップ形式で行うとのこと。実際におこなったワークショップの様子や、画面設計図に貼られた大量の付せんなどを写真付きで紹介してくれました。
ワークショップをやる理由は、関係者で意識共有を図り、本音を引き出すため。
アウトプットさせるためには何でもやる
ワークショップの最中に取り組む内容によってBGMを用意したり、お菓子、アロマなどを会場に準備するそうです。鉄板BGMはスーパーマリオのサウンドトラックで、広い世代で効くBGMらしいですw
5グランドルールという「ほめる・聞く・受け止める・待つ・楽しむ」ことを場のルールとして行うなど、参加者自身が発言したり付せんを書いたりといったアウトプットをいかに出させるかにものすごく意識を注いでいるなぁと感じました。そうして出たアウトプットが、「良質な仮説」になるというお話でした。
クライアントの事務所で行うワークショップでは、共有スペースなどの普段目にすることの多い場所の壁を使い、次のワークショップまでの間も常に目のつくところに貼っておくことで、参加メンバーの意識が高まり、より質の高いアウトプットが生まれるそうです。壁にずっと貼っておけない場合も、大きな模造紙に貼ってそのまま保管しておけばOK。壁に貼るのはザラザラの壁もOKなひっつき虫が良いそうです。これ良さそう。
ワークショップ:10点レビュー(仮)
やりかた
共通のお題に対して、参加者全員が一人ひとつの付せんに回答を書き、複数人と交換して、自分以外の参加者の回答した付せんが手元にあるようにします。
2人一組になって、2枚の付せんを見せあい、その回答を評価して10点を振り分けます。
2を5回繰り返し、終わった人は全体が完了するまで待ちます。
最後に1番点数の高い回答(付せん)を発表します。
今回のテーマは「あなたにとってSaCSSとは?」だったのですが、最も高い点数は「始まりの場所」という非常にエモい回答でした。その回答自体も良かったのですが、それ以上にこの仕組み自体の公平感が強く、納得度の高い結果になりました。
自分以外の人の回答を持って点数をつけることで、ムキにならずに済みますし、人数がある程度多ければ(今回は30名ほどでした)、誰の回答だから良い・悪いというバイアスも入らず良い手法でした。
集計後に自分の付せんに名前を書き貼り出し、その後分類分けしたり・・という使い方もあるようです。
(追記2019/02/13)金内さんのスライド資料が公開されました!
セッション2:コアタイムの無い完全フレックスタイム制&リモートワーク可能な働き方を会社に導入するまでと、導入してからのメリット・デメリットなど経営者として感じたこと(株式会社コミュニティコム 代表 星野 邦敏さん)
グラレコ
セッション概要
IT事業の正社員は、コアタイムの無い完全フレックスタイム制&リモートワーク可能な働き方を実践しています。そのような働き方をなぜ導入したのか?どう導入したのか?導入してどうなったのか?今後どうしていこうと考えているか?などを、経営者側の視点として、また、自社でコワーキングスペースの運営を7年している知見も踏まえて、お話できたらと思います。
引用元:SaCSS Special19: 考えを仕事に活かす
続いてセッション2つ目はコミュニティコムの星野さん。前回は2012年6月にSaCSSに出演されていて、ぼくもその時に初めてお会いしていました。覚えていてくださって嬉しかったです。
星野さんが代表のコミュニティコムでは、埼玉で7F(ナナエフ)というコワーキングスペースや貸会議室などの空間運営事業と、WordPressを利用したウェブ制作を行うクリエイティブ事業を展開しているとのこと。星野さんのお名前を目にするのはどちらかというとコワーキングスペースのお話が多く感じていたので、今回のサイト制作の事業のお話を聞くのをすごく楽しみにしていました。
現在正社員は10名でそのうち9名が制作を行っていて、静岡で完全リモートで働くスタッフさんの入社をきっかけに制度を作ってきたそうです。完全フレックスタイム制&リモートワークについて、自社で取り組まれていること、知見の紹介がありました。
それぞれを導入している具体的な理由と、活用方法を聞けたのが収穫でした。Zoomは良いという話はよく聞くけど、ちゃんと使ったことがなかったので今度試してみようと思います。
使用しているツール
インターネット会議:Zoom、YouTube、Google Docs
メリット
採用がラク(場所の制限がないため)
成果だけで管理・判断ができる
デメリット
雑談が減る(雑談から生まれるアイディアが出にくくなる)
研修や理念の共有に限界がある
自分で仕事を見つけられない人を採用してしまうとミスマッチが大きそう
財務的な目線から
人件費は大きいコスト。プロジェクトごとに集まるようなギルド的集団が良いかも知れない
受託だけではコストを賄えなくなるリスクがある。自社サービスを作っていかないといけない
2地域居住での良かったこと
社長がいなくても回るようになった
社長が社長の仕事に集中できるようになった
今までと異なる新しいインプットを得やすい
リモートワークや2地域居住に向いている人
仕事を自分で取ってこれる人
与えられた仕事をきっちり終わらせられる人
良くも悪くもオンオフがなくできる人(スキルを磨き続けられる)
情報発信ができる人
チャットコミュニケーションが円滑な人
※そもそも向いている業種業態と向いていない業種業態がある
(追記2019/02/12)星野さんのスライド資料が公開されました!
セッション3:婚活にウェブディレクションの手法を使ったら半年くらいで成果が出た話(株式会社コミュニティコム 清水 由規さん)
グラレコ
セッション概要
30歳地方在住のしがないウェブデザイナーが「ウェブ制作をするように婚活もプロジェクト化してみたらどうなるか?」と、何気ない思いつきからはじめた迷走と奇跡の(?!)実体験。特に従業員の立場だとオンオフは分けて考えがちですが、オンの考え方をオフに使ったり、オフの考え方をオンに使ったりすることで生まれる相乗効果を赤裸々にお話しします。
引用元:SaCSS Special19: 考えを仕事に活かす
清水さんの婚活の実体験をテーマに、1件のコンバージョン(結婚すること)を目指してプロジェクトマネジメントを展開したお話でした。このセッションはもうグラレコというかレポートというか・・生でお話を聞くのがベストだと思います!終始参加者から笑い声の絶えないセッションでした。
時系列で書かれたスライドの見せ方が参考になりました!
次回のテーマは「ディレクション」
ということで、3セッション約3時間のロングセッションでしたが、あっという間に終わってしまった充実の内容でした。懇親会も20名程度と高い参加率のSaCSS。次回も楽しみです。
次回は「ディレクション」がテーマのSaCSS Special20は3月2日(土)の開催です。待島も登壇します。北海道ではほぼ無い(と思われる)株式会社デスクトップワークスの田口さんが来札します。ほか先日のJBUG#2で登壇されたフュージョン株式会社の川岡さんのセッションの再演もめちゃくちゃ面白いので、今から予定を入れておいて損なし!です。もちろんぼくも頑張りますので、応援がてら来てくださいね。笑